幹部候補が辞める組織、残る組織:育成と定着の見えない関係

「幹部候補として育てたのに辞めてしまった」
「優秀な若手ほど、なぜかすぐに会社を去る」

こんな悩みを抱えている企業は少なくありません。
しかし、多くの経営者が見落としているのが「育成と定着は切り離せない」という事実です。

この記事では、なぜ幹部候補が辞めるのか、逆にどんな組織なら残るのかを深掘りし、育成と定着の“見えない関係”を解説します。


■ なぜ幹部候補は辞めるのか?3つの“裏側要因”

表向きの退職理由としては「キャリアアップ」「待遇への不満」などが挙げられますが、実際には以下の“裏側要因”が大きく影響しています。

① 【期待と現実のギャップ】

「期待して育てているのに、なぜ辞めるのか」と嘆く前に、本人が感じる“会社からの期待”を確認することが重要です。

多くの場合、幹部候補に抜擢された瞬間から過度なプレッシャーがかかり、

  • 失敗を許されない空気
  • 常に成果を求められる環境
    に押しつぶされてしまうケースが多発します。

② 【成長実感の欠如】

幹部候補は「成長意欲が高い人材」が多いため、停滞感に敏感です。
特に「育成のための配属」と言われながら、実務は雑務や調整ばかり…という状況では、「この会社で成長できるのか?」という疑念が強まり、退職に傾きやすくなります。

③ 【信頼できる上司・メンターの不在】

どんな優秀な人材でも、孤独な環境では心が折れます。
「悩みを共有できる相手がいない」「相談しても的を射た助言がもらえない」状況は、本人のモチベーションを大きく削ぎ、転職を現実的に考える引き金になります。


■ 幹部候補が「残る組織」の共通点

一方で、幹部候補が定着しやすい組織には、以下のような共通点があります。

① 成長の“実感”が得られる機会が多い

次のような環境を用意することで、「自分は成長できている」という実感を持たせています。

  • 明確な役割とチャレンジ課題を与える
  • 失敗も含めた「挑戦の場」を用意する
  • 自己評価とフィードバックの機会を定期的に設ける

② 育成が“組織の文化”として根付いている

特定の上司の熱意に頼るのではなく、組織全体として育成に積極的であることも重要です。
たとえば、次のような仕組みを持つ組織は定着率が高くなります。

  • 幹部候補同士の意見交換会
  • 上司からの定期1on1とフィードバック
  • 成果だけでなく「育成への取り組み」も評価する制度

③ 「心理的安全性」が高い職場環境

幹部候補の定着において、近年特に注目されているのが「心理的安全性」です。
これは、次のような状態を指します。

  • 意見や悩みを安心して発信できる
  • ミスを責めず、改善の視点で対話できる
  • 上司・同僚・部下が対等に意見を出せる

心理的安全性が高い職場では、幹部候補の「この会社で頑張っていきたい」という気持ちを強化し、長期的な定着につながります。


■ 育成×定着の“好循環”を生むには?

幹部候補の育成と定着を両立するには、以下のような好循環のサイクルを意図的に作り出すことがカギです。

【ステップ1】

挑戦的な課題を与え、成長のきっかけをつくる。

【ステップ2】

経験をふりかえり、学びを言語化・共有する機会を提供する。

【ステップ3】

行動変容や成長を上司・メンターがしっかり認め、承認する。

【ステップ4】

新たな課題に再挑戦する“挑戦→内省→成長”のサイクルを回す。

このサイクルを自然に回せる組織では、「育てながら、定着する」リーダー人材が着実に増えていきます。


■ まとめ:「育てること」と「残すこと」は同時に進めるべき

「育てたら辞める」「辞めないようにすると育たない」という二者択一の発想は、今の時代には通用しません。

次世代リーダー育成は、育成と定着の“両輪”を意識して設計することで、長期的に会社を支える“幹部人材”を確実に育てることができます。

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